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高校生だけどNPOやってます!

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紀行文リレー第二区:足長おじさんの贈り物 

お待たせいたしました。第二走者にバトンタッチ!!

 

時は二〇一二年八月、韓国麗水で開催された万博でのこと。

 

家族で韓国を旅行している間に、タクシー運転手さんの勧めで麗水万博に行くことになりました。会場は、興味深い展示ばかりで、当時小学校二年生だった私は心弾んでいました。あちこちを見回って、私たちはしばらく休憩することになり、その時、私は一人で、向かい側のトイレに行きました。

 

トイレから出た瞬間、私の目の前に二メートルをはるかに超える背丈に、面白い衣装を着た、足長おじさんが居たのです。八歳という幼い私にとって、その姿はとても不思議で、後をついて回りながらしばらく見物しました。そして気がついたときには、出口が見えないほど広い会場の中で、迷子になっていたのです。いくらあたりを見回しても家族の姿は見えませんでした。携帯電話もなかった私は、しばらく悩んでから、通り過ぎたカップルに助けを求めようとしました。しかし、韓国語を話せない私が、喋らずにぐずぐずしている間に、呆気なく無視されてしまいました。時間が経つにつれて、もう家族に会うことができないかもしれないという孤独感、そして喪失感から、一人、涙が出そうでした。

 

そんな中、トボトボ歩いていると、コーヒーを飲みながら話をしているおばさん達が私の目に映ったのです。私は藁にもすがる思いでそのおばさん達に近づき、声を掛けました。しかし、頭の中に思い浮かぶ韓国語は、「안녕하세요(こんにちは)?」しかありませんでした。このおばさん達にまで見捨てられてしまえば、一生家族の元に帰れないかもしれないと、私は恐れ、焦りました。慌てた私は、泣きながら知っている限りの韓国語を思い出そうと必死に努力ました。そうすると、驚くことに私の口から、「엄마、언니、할아버지!음…아!가족!없어요!(お母さん、お姉ちゃん、おじいちゃん!うーん… ああ!家族!いません!)」という韓国語が出てくるではないですか。私は泣きながら、思いつく単語をつなぎ合わせ、“家族がいない”という自分の状況を一生懸命に伝えました。そして、最後まで優しく、私の話に耳を傾けてくれたおばさん達は、私が迷子であることに気づいてくださいました。

 

幸い、私のポケットの中には会場まで私達を送ってくれた運転手さんの名刺が入っていました。そのおかげで、名刺を見た一人のおばさんが電話をしてくださり、私の居る所まで迎えに来てくれることになったのです。

 

タクシーを待つ間も、おばさん達は一緒にお菓子を食べながら、お迎えが来てくれるから泣かないでと言葉をかけ続け、私を安心させてくださいました。そして約三十分後、タクシーが到着し私は無事に家族の元に帰ることができました。“家族に会えた”とホッとしたのもつかの間、タクシーに乗る前、私が韓国語を話せないせいで、おばさん達に感謝の気持ちを、まともに伝えられませんでした。それと同時に、そんな自分自身がとても情けなく感じたのを今でも覚えています。

 

幼稚園から高校まで、日本の学校に通った私は、自身のルーツが韓国にあるということを分かってはいたものの、韓国が自分の母国だという考えに至ったことは、これまで一度もありませんでした。家族で度々韓国を訪れても、ただ近くの外国を旅行している気分でした。しかし、この出来事をきっかけに、私の母国は韓国であり、母国語で自分の考えや状況を伝えられる人にならなければならないと決心しました。その瞬間から、平凡だと思っていた私の生活環境は特別で、ありがたいものへと変わりました。韓国語を話せる両親は、“いつでも・直接”勉強したことを確認することができる先生のような存在となり、韓国旅行は勉強した成果を発揮し、自分の実力を試す実技試験の場となったのです。

 

高校生になってから、韓国語教室にも通うようになり、より本格的に勉強を始めることとなりました。そこで出会った先生は、いつも“頭の中で理解していることと、実際に言葉で表現できることは違う”とおっしゃいます。

 

何事も、インプットだけでは、完全に身に着けることはできず、必ずアウトプットが必要なのです。よく、何かに挑戦するとき失敗を恐れてはいけないと言います。その言葉のように、通じなくなっていい、まず自分の知っている最大限の言葉を使って何か会話をする、その小さな挑戦の積み重ねこそが、のちに大きな結果を生むのです。また、その挑戦の数が、自分のスキルへの自信に比例すると実感しています。

 

私の夢は、どんな形であれ、韓国語を活用して仕事をすることです。その目標を胸に、未来の自分に恥ずかしくないよう、今できることを全力で頑張りたいです。自分の理想像を思い浮かべ、その実現に向けて、一歩一歩自分の足を進めていきたいです。

 

韓国語という、誇らしく、宝物のような贈り物をくれた足長おじさん、ありがとうございました。

 

 

次は花の三区てか。乞うご期待!!